「売れる仕組み」とは、マーケティング概念を日本語で平易に言い換えた言葉である。
背景としては、日本において、マーケティングという言葉がカタカナ語で馴染みが無く、マーケットという言葉が、為替市場などを連想させ、また宣伝活動など企業の活動のうちのごく一部分をマーケティングと捉えてしまう誤解が根強い。
しかし、顧客のために企業活動を最適化するという概念自体は、現代のビジネス活動には不可欠なため、わかりやすい表現を目指し「売れる仕組み」という言葉が登場したと思われる。
日本語で「売れる」という言葉は、「セリング」と「マーケティング」の二つの意味に捉えられる。「セリング」とは、顧客が欲しくない商品でも(極端に言えば)詐欺的ないし強迫的に売りつける意味合いを持つ。対して「マーケティング」とは、商品について顧客に知ってもらい、関心を持った顧客にはよく理解してもらうための情報を提供することである。また、商品を欲した顧客にはその商品を容易に入手し、顧客のいる段階に対応した状態を作り出すことである。 これらを区別するために「マーケティング」という言葉が使用されている。
商品・サービスが「売れる」ためには、顧客のニーズを知り、ニーズを満たす商品をつくり、顧客がその商品の存在を知り、特徴を理解し、手に入る場所に商品が置かれ、入手できる適切な価格で提供されている必要がある。 これらの一連のプロセスが「売れる」という言葉に集約されている。
また、これら顧客を意識した一連のプロセスは、企業内で意識して統合・調整しないと成し得ないため、「仕組み」と表現されている。マーケティング意識がまだ十分に醸成していない組織のためには、しばしば「売れる仕組みづくり」と組織の変容を促す表現で使用される。
「売れる仕組み」は、以上のような背景がある含蓄のある言葉であるが、あまりに平易すぎる日本語のため、ビジネスの現場で聞く人の心に刺さらず、無視される危険性を孕んでいる。意味と背景の説明を伴って伝えられることが望ましい。