原因不明の発熱「不明熱」が増えています。体温が上がるだけでなく、全身の倦怠感や集中力の低下で仕事の能率が下がり、イライラが募るなどの症状が続くのです。
1990年以降発熱の機序が解明されたため、これらの症状が感染による発熱とは違い、ストレスが原因の心因性発熱という病気であることがわかってきました。心因性発熱は風邪など感染症による発熱とは違うので、市販の解熱剤は効きません。
恒温動物が心理的ストレスにより体温が上がることは、動物実験では当たり前のこととして知られていました。人間もストレスで体温が上がりますが、通常37℃を超えることはなく自覚はありません。急性や慢性の心理的ストレスによって、体温が37℃以上となる場合、心因性発熱と診断されています。
心因性発熱は3つのタイプがあります。1つ目は強いストレスで急に体温が上昇し、ストレスがなくなると熱が下がるタイプ、2つ目は慢性的にストレスがかかり、37~38℃の微熱が持続するタイプです。1と2が合併するのが3つ目のタイプで、乳幼児は1タイプが多く成人は2か3のタイプが多いようです。
診断は発熱の原因になる身体疾患の有無、血液検査で炎症反応の有無と解熱剤の効果を検査します。炎症反応がなく、解熱剤でも熱が下がらない場合は心因性を疑う必要があるでしょう。また3~6か月前の仕事や生活環境など心理社会的背景を聞き、ストレスがあるかどうか確認します。
さらに心理的ストレステストで体温が上がればストレス性と診断されます。他にも、掌や足底の発汗や不眠も診断のポイントになるようです。